6年生は、ねん土に挑戦しました。ねん土というと、幼稚園の頃から油ねん土や紙ねん土等、様々なねん土に出会ってきたと思いますが、今回は、もう一度、ねん土を再発見することにしました。
ねん土は、漢字で粘土(ねばる・つち)と書くように、もともと「土」です。大昔から、この土を練った材料は、ものづくりの素材として使われてきました。縄文時代から変わっていません。
しかし、天然の土でできた粘土は、すぐに水分が蒸発して固くなってしまうので、代わりに「油粘土」が生まれたり、軽くて加工の容易な「紙粘土」が生まれたりして、子供たちの身のまわりには、人工的な粘土が多くなりました。そして、今、天然の粘土に出会ったとき、やはりこれも商品としての人工的な粘土というイメージが拭いきれません。自分たちの足下深くにある「粘土」とは、結びつかないのです。
私が、今回の授業で、あえてもう一度、シンプルに「粘土遊び」を取り入れたのは、「粘土は自然物」であることを、知ってほしいと思ったからです。
そのための手立てとして、今回、取り入れたのが「ブラインド・スカラプチャー」という方法です。つまり「目隠ししての粘土造形」です。
今日の授業では、あらかじめ一人一人に粘土を切って用意しておきませんでした。粘土を切り糸で切り分けるという作業が、実はとてもおもしろいのです。この部分を飛ばしてしまうのは、もったいないと思っています。
班で協力して、粘土を切り分けます。 |
きれいに切れると気持ちがいいですね |
全員、きれいに切れました |
さて、いよいよ目隠しします |
約15分の間、(途中で何度か外しましたが)暗闇の中での粘土造形です |
目隠しをした状態で、こちらから3つのお題を与えました。
1つ目は、できるだけきれいな球体
2つ目は、星形
3つ目は、2つの同じ大きさです。
さあ、うまくいったでしょうか。みんな不安そうです。
暗闇の中で、粘土をたぐり寄せ、指先の感覚だけで形をつくります |
星形にできるでしょか。 こんなに指先に神経を集中したことは、最近あったでしょうか。 |
お! かたちができてきた。 |
形になっているかどうかも、自分の指先で判断します。 |
予想よりうまくできた子、逆に、思いの外うまくいかなかった子。目を閉じてみると、いつもと感じ方が違います。目で見ているものと、手で感じられるものには「差」があることに気付いたのではないでしょうか。
「2つの同じ大きさをつくる」というお題では、目を使わないで同じ大きさを測る方法を、試行錯誤していました。1本の棒状にして真ん中で折る方法、一枚の板状にして半分に折る方法、1つのかたまりを真ん中で切る方法など、さまざまです。
最後に、重さを頼りに左右を比べていました。しかし、目を開けてみると「あれ? ちょっと左の方が大きい!」など、驚きの声があがりました。普段、どのくらい目(視覚)に頼っていることがわかります。
さっそく水気が無くなったので、水分を加えていきます。 |
思い思いにつくって壊して、くりかえします |
いくつかの道具にも挑戦します |
いつの間にか協同制作がはじまっていました |
細かい表現にも挑戦 |
ある感覚を閉ざすことで、初めて感じられる感覚があります。ある知識を得ることで、見えなくなることもあります。だから今日は、シンプルに粘土と向き合ってもらいました。教えられたことではなく、自分で発見したこととして、今日の体験が、何かに結びついていくといいなと思います。
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